遺産分割協議書への署名・押印を拒否されたときの対処法
遺産分割協議書へ署名・押印を拒否する相続人が現れることは、よくあることです。
末っ子だから遺産がもらえない、被相続人の面倒は自分が一番見てきたなど、いろいろな感情が相続人の中にはあります。
一人でも拒否する者がいると、終わらないのが遺産分割協議です。
今回は、遺産分割協議書に署名・押印を拒否する者がいる場合の、対処法について解説していきます。
遺産分割協議書への署名・押印が拒否される場合の問題点
相続人の中に、遺産分割協議書への署名・押印を拒否する者がいると、以下のような問題が起きることが想定できます。
解決までに時間を要する
遺産分割協議書は、相続人全員の署名と押印が必要です。
一人でも拒む者がいれば成立しません。
多数決で解決できるような問題ではないからです。
協議による解決が難しいのならば、家庭裁判所へ遺産分割調停や審判を申立てることとなります。
こうなると長いものでは数年かかることもあり、不動産などが遺産にあれば、その間の維持費も加算できます。
また、調停は平日に開催されることから、仕事を休むことも考えなければいけません。
仕事への支障は、当事者のさらなる負担になることでしょう。
sp長引けば長引くほど精神的、肉体的、金銭的に当事者を苦しめてきます。
親族間で対立が起きる
親族間で対立がおきることなど、ざらにあります。
長引けば長引くほど、攻撃的な態度をとるなど、激化していくことでしょう。
調停にもちこめば、さらに攻撃がエスカレートするかもしれません。
攻撃的な書面を目の当たりにしたとき、二度と会いたくないと思うことでしょう。
これでは故人も浮かばれません。
遺産分割協議書に署名・押印を拒否されたときの対処法
遺産分割が長引くことにメリットなど一つもありません。
しかし、遺産分割協議書の署名・押印を拒否することも不法行為ではありません。
拒否する者が1人でもいる場合、相続人全員が納得して遺産分割協議書へ、署名・押印するのは難しいことです。
だからと言って放置するわけにもいきません。
早急に署名・押印してもらための対処をしていきましょう。
誠意ある対応を心がける
遺産分割協議は、相続人が感情的になりやすものです。
誰よりも得をしたい、平等でなければ嫌だなど、それぞれの思惑が異なれば、揉めるのは当然と言えます。
たとえ平等であれば良いと相続人全員が思っていても、遺産に不動産などがあれば、その願いがかなわないこともあります。
そこで署名・押印を拒否する人がいる場合は、誠意ある対応を心がけましょう。
相手からの質問を適当にあしらうことなく、可能な限り資料を提出しながら回答をしていきます。
質問を無視するなどの対応をすれば、署名・押印を拒否されてもしかたありません。
遺産分割協議は最初が肝心です。
常に誠意ある対応を心がけてください。
弁護士に依頼をする
遺産分割においては、できれば協議で終わらせたいものです。
調停まで申立てる事態になると、時間と手間だけが無駄にかかります。
どうしようもない状況ならば致し方ありませんが、そうなる前に解決を試みましょう。
協議で終わらせるためにも弁護士へ相談し、法的な観点から冷静な判断を伺います。
相手がかたくなに拒否する場合は、交渉も依頼しましょう。
拒否を続ける相続人の中には、振り上げたこぶしの落としどころがわからないなっている者がいるかもしれません。
第三者が介入することで、すんなり解決をすることもあり得ます。
協議にまったく応じなくなった親族がいる場合は、無駄に時間だけが過ぎていきます。
調停や審判に持ち込む前に、弁護士の介入で早期解決を目指してください。